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服部幸雄先生の『宿神論』について 予告

(川添裕)


敬愛する服部幸雄先生が平成19年(2007)12月28日に亡くなりました。12月15日に船橋の病院へ家内(横山泰子)、娘とともにお見舞いにうかがい、すこしのあいだお話をしたのが最後のお別れとなりました。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げます。服部先生らしく最期までお考えはしっかりとしており、三十数年来の課題であった『宿神論』を、遺著として刊行することを託されました。刊行の詳細に関しては目下、岩波書店との相談が進行中で、5月中に具体的な作業をはじめ、2008年秋(10月〜11月)の刊行を目指します。

この宿神(しゅくじん)、後戸(うしろど)をめぐる一連の論文は、人文学諸分野で広汎な議論を巻き起こした「伝説的」な論考であり、芸能史、中世史、中世文学、日本文化史、建築史、宗教思想史、心性史、差別史、民俗学等々の学界での反響はもちろんのこと、たとえば近年の中沢新一氏の『精霊の王』でも、あとがきで服部先生の宿神論を「画期的な論文」「すばらしい論文」と最大の評価をしています。ちなみに、朝日新聞では夢枕獏氏の小説『宿神』が連載されています(西行が主人公、1月19日で終了)。

一言でいえば、これは芸能世界のみならず日本文化の根源を考えていく際の、その奥底や裏側にふれあう、巨大な隠れた「トポス」というべき問題であるとの認識が、学問世界、知的世界のあいだで三十数年間に拡がっていったのであり、そのきっかけをつくったのが服部先生のお仕事でした。最高の歌舞伎研究者にして、しかしたんなる歌舞伎研究にはとどまらず、中世の猿楽へ、芸能の深遠へ、わが文化と心性の源流へと、対象を見つめれば見つめる程どこまでも遡らざるをえなかった先生の文化史研究のありようが、もっともよくあらわれた論文ともいえます。ネット上の追悼文にも、書籍としては未刊であった宿神論への言及があらわれだしています。

服部幸雄先生から受けたご恩、お教えはさまざまあって、いろいろと記したいことはありますが、とりいそぎ遺著『宿神論』の予定目次のみを、僭越ながら先生に代わって以下に掲げ、関係のあった方々、関心のある方々への案内とさせていただきます。本の詳細や関連する計画、企画等の事項は、今後数カ月から一年以内に関係各諸方面とも相談しながら具体化していくなかで、追って記すつもりです。 (2008.1.18記、1.21追記、2.15修正、4.10追記、5.4追記 川添裕)

 

服部幸雄『宿神論』目次予定


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