『江戸の見世物』書評メモ
国際交流基金が海外向けに発行する日本の本に関するジャーナル『Japanese Book News』で、紹介してくれました。Kawazoe sees such events [i.e. misemono] not only as an important barometer of popular culture during the Edo period (1603-1867) but as a feature of the historical backdrop of today's mass culture. といったあたりが、ありがたかったです。紙版と同内容のVolume 34全体のPDFファイルをここからダウンロードできます。
国際浮世絵学会(日本学術会議登録)の学会誌『浮世絵芸術』で、具体的な解説に加え、「豊富な浮世絵作品や文献の引用に加え、読み手を引き込む巧みな文体で、江戸の見世物の真の姿に迫る。近世後期には十万人を超す観客を動員することもあったという見世物の持つパワーや魅力、参加した江戸の人びとの熱気を感じとることのできる一冊である」と結んで、書評紹介していました。執筆は、歌舞伎・役者絵研究者の藤澤茜氏です。
伊勢の皇學館大学の論文誌でコミュニケーション学科教授の上久保達夫氏が、内容の順を追って非常にていねいな紹介をしてくれました。「本書を読むと随所に示された視点に読者は教えられ、事の本質をついた説明はまさに『目から鱗が落ちる』思いにさせてくれる」とういう出だしは、ちょっと過分で照れくさいですが。
ブックウォッチングの「私が選んだこの一冊」というコーナーで、京都在住の文化プロデューサー伊藤恵氏がとりあげていました。1000字をこえる本格の紹介で、最後に「私もプロデューサーとして、例えば京都駅でサーカス(綱渡り)を企画公演したくなりました」と結んでいて、そんな刺激をうけとっていただいたのは、うれしいことです。『毎日新聞』は、昨夏の渡辺保氏書評に続き二度目の紹介でした。
東京かわら版発行の『寄席演芸年鑑 2001年版』の「2000年に出版された演芸本」で、ていねいに紹介され、末尾の記憶にとどめたい「2000年の成果」としても掲載されました。「あとがき代わりの『お名残口上』は演芸に関するエッセイとしても最上のものだ」という評言は、照れくさいですがありがたかったです。
作家の泡坂妻夫氏が『日刊ゲンダイ』の定番コーナー「週間読書日記」でふれていました。「ご隠居が案内役を務める江戸の見世物の世界」とのタイトルでくわしく紹介し、「江戸の喧噪と熱気が伝わって来る本である」と結んでいます。
知人から教えられたのですが、ブック・レビュー・ガイドbでは、日本の主要二百紙誌の書評掲載状況がわかるそうです(最近六カ月間データで、古いデータは順次切り捨て)。また、新書ランキング 2000年総合なども載っています。
「近年の、祭礼の添え物のようなうさんくさく、チャチなものが見世物だという先入観の持ち主には、本書の内容はともかく驚きの連続だろう。かくいうわたしも本書を読むまで、それから遠い所にいたわけではない。まさに目からウロコの例に等しい」と、演劇評論家の大笹吉雄氏が非常に丁寧に書評してくれました。bk1は、今福龍太氏、竹美まこと氏、日経分に加えての紹介で、(別に紹介してくれたからいうわけではなく)他の本の情報を見ていても、全体に勢いがあるサイトですね。
意匠学会という学会(日本学術会議登録)が発行する学会誌でのロング書評です。それぞれの章を丁寧に読みこなしていて、江戸の見世物が流行する勢いと、評者が専門とする服飾史に見られる流行の勢いを、それぞれ誰にも止めようがない社会現象と比較する視点が面白く、なるほどなと思いました。ちなみに、私はこの意匠学会に所属しておらず、評者とも面識はありませんが、率直に読み込んでいただけたのは有り難いかぎりです。
「『見世物』という沃野」のタイトルで丁寧な紹介をしています。テレビ局の雑誌らしく、今日のテレビや娯楽などに、江戸の見世物がもっていた娯楽ファクターがかたちを変えながら流れつづけていること、また、江戸の流行娯楽も、同時代社会に勢いよくあふれでていくものであった点に注目しています。
「見世物研究 ふたつの成果」というかたちで、鵜飼正樹さんの『見世物稼業』とならべて紹介してくれました。今回は軽業の「物語性」に注目し、サーカスと演劇、サーカスとバレエといった、現代のジャンル融合の傾向とひきくらべても示唆に富むと記しています。確かにそれがサーカスと体操の大きな違いで、物語や流行風俗、仕掛どんどんとりいれて、より魅力的なストーリーテリングにしていくんですね。
その後「月刊デラシネ通信」の今月の一冊に転載されました。
小屋掛けの娯楽の雰囲気にはじまり、江戸のさまざまな見世物をわかりやすく具体的に案内しており、「新書判だが内容満杯で得るところが多い」と、くわしく紹介してくれました(「演劇書案内 book review」のコーナー)。
「BOOK REVIEW かつくらが選ぶオススメ本」のコーナーで紹介していました。「見世物という言葉は最近ではあまり使われなくなってしまったが、人の目を楽しませるショーのようなものだと考えれば、我々は毎日のように見世物にふれている。映画だって、テレビだってそうだ」云々と、江戸の見世物の、現代への継承を中心にふれています。
本書の快楽は身体的・官能的なものに近く、「見世物の口上をまさにその場で聴いているような官能的な空気が最後まで持続する」。「見世物という文化の『押しとどめようのない』性格を、私たちの官能と快楽の押しとどめようのなさにおいて記述しようとする著者の意図は刺激的。新書を現代の草双紙としての可能性にむけて開く、冒険的な試み」と紹介してくれました(文庫・新書コーナーの「今週のリコメンド」バックナンバーです)。
また、 bk1の文学コーナー・コラム竹美まことの古典派読書でも、10月23日に木下直之さんの『美術という見世物』と併せて紹介してくれました。さらに、日本経済新聞にのった書評も各書目情報に収録されています。
「寺社のご開帳と結びついておこなわれた江戸後期から幕末までの見世物興行を見世物絵(引札、浮世絵)などの一次資料の分析で描いています」云々と、内容を要約して紹介しています。
「見世物文化の全体像を描き直した労作」とのタイトルで紹介しています。「江戸の見世物」の多くがじつは「大坂の見世物」だったことや、現代のテーマパークなどとの共通性に重きをおいて紹介していて、生粋の大阪人にしてアミューズメント研究家の評者(先日、講談社現代新書で『日本の遊園地』が刊行になりました)らしい書評でした。
著者インタビューの方は、前にでた『北海道新聞』からの記事配信で、内容は同文ですが、「庶民の活力伝わる芸能」のタイトルで少し遅れて掲載になりました。また、これとは別に前日の土曜夕刊でも、江戸の見世物の流れは「現代のテーマパークや動物園、テレビにも生きて」おり、「江戸後期の『見世物』ブームの本質と社会との関係を解説」した書と、ダブルで紹介されました。
「資料を読みこなす著者の背後には、文化人類学や民俗学的な視点が光っており、単なる資料の紹介にとどまらない、一貫したパースペクティヴが感じられます。間違いなく今年の演芸書を代表する成果の一つと言えるでしょう」と、紹介しています。
本の執筆背景やモチーフ等についてしゃべり、「両国、浅草の小屋のにぎわい再現」のタイトルで掲載されました。「江戸の見世物は滅んだともいえますが、見世物の本質はテレビ番組やステージショーにも流れています」などといったことも喋っています。『東京新聞』『中日新聞』同一紙面です。演劇評論家の森秀男氏によるインタビューです。
「午後2時の興味津々」というコーナーで午後2時20分過ぎから約20分ほど生出演し、本を中心にあれこれとしゃべりました。昔、人間ポンプの安田里美さん(故人)がこの番組に出て、スタジオでちょっと火を吹いたところ火災報知器が鳴ってしまい、関係者は始末書ものだったとか!?。放送前にはそんなおしゃべりをしました。
江戸時代の見世物が誰にも親しみやすい庶民娯楽だったことにふれ、「テレビ番組・動物園・遊園地・芝居などに脈々と生き続けている『見世物』の原点に迫る。人間の好奇心はいつの世も不変だ」と、「最近 出版された ぜひ おすすめの本」で紹介しています。
「かつての江戸では、見世物は時として歌舞伎をしのぐ一大ショウ・ビジネスであった」とはじまり、主要な内容の紹介をおこない、「綿密な考証に加え、豊富に添えられた『見世物浮世絵』が大いに臨場感を添えている」と結ぶ、詳しくわかりやすい書評でした。
「現代に通じる娯楽の源流」というタイトルで、江戸と現代の娯楽の共通性と違いに目を向け、壮大なバラエティ・ショーとしての見世物が息づいていた江戸の、「心が開かれていた」感覚を読後感として記しています。
「できるかぎり一次資料に即して見世物の文化を復元しようとし」、「見世物の世界を小さく限定せず、現代のテレビ番組や動物園も視野に入れ、いわば見世物的なるものの考察へと読者を連れ出した」点において、「画期的」な書と紹介しています。